はじめに

前回の記事「Cursorの魔法の杖!.cursorrulesでAI支援開発を加速しよう」では、基本的な.cursorrulesの設定方法について解説しました。今回は、実際のプロジェクト開発での経験から得られた、より実践的な活用テクニックをご紹介します。

なぜ.cursorrulesの拡張が必要か?

実際のプロジェクト開発では、以下のような課題に直面することがよくあります:

  1. コマンド実行時のディレクトリ位置の混乱
  2. 仮想環境(venv)の有無によるエラー
  3. 環境依存の問題
  4. 実行コマンドの一貫性の欠如

これらの問題を解決するために、.cursorrulesをより詳細に設定することで、AIアシスタントとの効率的なコミュニケーションが可能になります。

.cursorrulesの実践的な設定例

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{
"version": "1.0",
"project": {
"name": "ProjectName",
"type": "backend",
"framework": "fastapi",
"structure": {
"root": "${workspaceFolder}",
"directories": {
"backend": {
"path": "/backend",
"virtualenv": {
"name": "venv",
"activate_cmd": {
"windows": ".\\venv\\Scripts\\activate",
"unix": "source venv/bin/activate"
}
},
"main": "main.py",
"port": 8080
}
}
}
}
}

新しく追加した実践的なテクニック

1. プラットフォーム固有のコマンド管理

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"platform": {
"windows": ".\\venv\\Scripts\\activate",
"unix": "source venv/bin/activate"
}

OSによって異なるコマンドを明示的に定義することで、AIアシスタントが適切なコマンドを選択できるようになります。

2. 環境変数とパスの統一

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"root": "${workspaceFolder}",
"path": "/backend"

ワークスペースのルートパスを変数として定義し、相対パスで各ディレクトリを指定することで、一貫性のある参照が可能になります。

3. コマンド実行の手順化

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"steps": [
"cd ${workspaceFolder}/backend",
"${env.activate_cmd}",
"python main.py"
]

複数のコマンドを順序立てて実行する必要がある場合、手順として定義することで、AIアシスタントが正しい順序で実行できます。

4. 仮想環境の明示的な管理

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"virtualenv": {
"name": "venv",
"activate_cmd": {
"windows": ".\\venv\\Scripts\\activate",
"unix": "source venv/bin/activate"
}
}

仮想環境の情報を詳細に定義することで、AIアシスタントが環境のアクティブ化を適切に行えます。

実践的な活用のポイント

  1. プロジェクト構造の明確化

    • ディレクトリ構造を明示的に定義
    • 各コンポーネントの関係性を示す
  2. 環境依存の解消

    • OS固有のコマンドを分離
    • パス区切り文字の違いを吸収
  3. コマンド実行の標準化

    • 共通のコマンド実行パターンを定義
    • エラーが発生しやすい操作の手順化
  4. デバッグ情報の充実

    • テストコマンドの定義
    • ヘルスチェック用エンドポイントの指定

まとめ

.cursorrulesを詳細に設定することで、以下のメリットが得られます:

  1. AIアシスタントとの効率的なコミュニケーション
  2. 環境依存のエラーの削減
  3. 一貫性のあるコマンド実行
  4. プロジェクト設定の標準化

これらの実践的なテクニックを活用することで、Cursorを使ったAI支援開発をより効率的に進めることができます。